|
2012年 11月 26日
<11月26日に日付が変わってから記す>大会全日程が終了しました。
・ペアFSも良い演技が多かったです。今大会ペアは日本選手欠場、強豪の中国選手も不在、若手・新顔選手中心という顔ぶれで、SPでの集客状況はやむを得ないと感じましたが、FSはほぼ席が埋まり、嬉しい驚きを感じました。なじみのある曲目では大きな拍手・手拍子も起こって選手も口々に「力になった」と話しており、観客の皆さんの温かい応援が好演技の連続に作用した、素晴らしい大会になりました。 バザロワ組はGP初優勝でファイナル進出決定。上位常連なので今回がシニア国際大会初優勝というのは意外でしたが、着実に力と成績を上げてきた中での母国開催ファイナル進出は素晴らしいことです。2位はムーアタワーズ組で、こちらもファイナル進出。 3位はキャステリ組で、念願のGPシリーズ初メダルを獲得しました。キャステリ組のFSは緊張のためかかなり硬い感じがしましたが、大きなミスなく行なえてSP・FS・総合すべて自己ベストを更新。非常に魅力的な2プログラムに恵まれた今季の急成長で米国2番手に上がってきた感があり、全米選手権以降もとても楽しみです。4位のシメカ組も評判通りの素晴らしさで、コロラドの組らしい技術力の高さと正確さは見事でした。全米で中位以降の組だったふたりが組み換えで突然光を放ちだしたことに、ケミストリーというものの不思議さを感じます。彼らも全米選手権以降がほんとうに楽しみ。 ・今年のNHK杯は、過去最高にレベルが高く、好演技が続いた素晴らしい大会になりました。選手&選手スタッフの皆さん、大会をきめ細やかに準備し運営を行なった主催者&関係者の皆さん、暖かい応援で多くの好演技を呼んだ会場の観客の皆様に厚く御礼申し上げます。 来年のNHK杯は一部既報通り、東京にて開催、とアナウンスされました。来季いっぱいでの選手生活卒業を公言している選手も多く、誰が出場することになっても会場で応援したいと思っています。 <11月24日夜追記>大会2日目が終了しました。演技が行われた順に。 ・ペアSPは今季GPの他大会と同様に、出来の良い高得点の演技が続きました。あすのFSでも皆の好演技・好勝負を楽しみにしています。特にキャステリ組に期待、ショート最高でした。 ・アイスダンスFSは、デービス組が素晴らしい出来栄えで文句なしの完全優勝。今大会の彼らは冴えに冴えていて、両プログラムとも過去最高の演技だったといってよく、吸い込まれるように素敵でした。FDはスケートアメリカでの初披露の段階では、大人気だったバンクーバー五輪シーズンの「オペラ座の怪人」に似すぎていて、しかも縮小再生産といった懸念もあったのですが、1ヶ月ですばらしい作品に仕上げてきたのはさすがでした。 優勝者インタビューでもコメントしていたように日本と非常に相性が良く縁の深いデービス組。われわれ日本のスケートファンも彼らにどれだけ素敵な時間を分けてもらえたか、感謝しても足りないぐらいです。今季は現時点で彼らが頭二つほど抜け出た印象があり、けがなどに気を付けて良いシーズンを過ごし、たくさん素敵な演技を見せてほしいと思います。 2位のイリニフ組は、FDではいつものスピードに欠けているかなとも感じましたが、ミスのない精緻で美しい演技でした。イリニフの体調不良には驚きましたが今回の結果は良かったし、ファイナル以降のさらなる成長と健闘も楽しみにしています。今季SDはカントリー音楽と映画音楽が圧倒的多数を占める中、彼らのSDは良い色を放っていると感じたし、こちらも今後がますます楽しみです。 3位のシブタニ組は2プログラムとも素晴らしい出来で、持っている力が出せたと感じました。FDは彼らの日本の血を感じさせ、重みのある深々とした情感が伝わるものでした。米国アイスダンスは2位3位を4チームが僅差で競う状況なので(シブタニ組、ハベル組、チョック組、リン&ローガン組)、ぜひ全米で勝ち抜いたシブタニ組を私も四大陸の会場で見てみたいと感じます。 リード組は目の前のもやが晴れるようなすがすがしい2プログラムを披露し、成績でも評価されてGPでは過去最高の5位に入りました。浅田さんの原点回帰が頻繁に言われる今季ですが、リード組にも同様のことを感じます。体調を整えて良いシーズンを過ごしてください。楽しみにしています。 ファイナルには1位2回、2位2回の6組の進出が決まりました。 ・男子は羽生君がFSでも大きく破たんすることなく、文句なしの完全優勝。高橋君も両プログラムとも健闘して見事2位に入り、ファイナルを自力でつかみました。今季これまでの高橋君は必要以上に周囲を気にしているように当方には感じられますが(気にするなと言っても難しいのだとは思いますが)、自分と自分の行うことに集中して泰然としていることで結果に反映されるものもあると感じます。 男子FSのダントツMVPはもちろんロス・マイナーで、またまた「驚異の3位力」を発揮して大難関の今大会表彰台に到達できたのにはほんとうにびっくりしました。衣装の色のような深々とした色彩感と、大波にたゆたうようなスケール感のある、精緻で品格あふれる、美しくて力強い演技でした。彼の調整能力の高さ、安定感、勝負強さは対戦相手と感じたらほんとうに脅威、パフォーマーとして見ればほんとうに魅力的です。これまで順調に上がってきたステップを今回一気に2段階ぐらい上がった感があり、「3位」の3が2になり1になるきっかけをつかめたと感じます。米国男子では現時点で1番手と感じられ、今後もたくさん素敵な演技を見せてほしい人です。四大陸も楽しみにしています。 ファイナルはとてもワクワクする待ち遠しい戦いになりそうですね。 ・女子FSは、鈴木さん・李子君・長洲の3人がほんとうにほんとうに素晴らしい演技を行ない、見ることができてとても幸せでした。鈴木さんはFSでは昨年スケートカナダ以来の良い演技ができ、本人の達成感が伝わったのが嬉しかったです。そういうときの彼女の演技は見え方が全く違ってくるので。ファイナルも楽しみにしています。 李子君はスター誕生を感じさせる最高の日本デビューでした。四大陸、世界選手権、場合によっては国別でも、さらに素敵な演技をたくさん見せてください。 長洲には素晴らしい気迫と演技を見せてもらいました。リンク入りする際からこれまで見たことのない引き締まった迫力のある表情をしていて、ふてぶてしい自信も感じられ、演技を行なっている最中はずっと「私の人生のすべてを懸けている」というぐらいの気迫と集中が伝わり、見ていて涙が出ました。安藤美姫さんが2008-09シーズンFSに使用してから大人気の「サンサーンス交響曲第3番オルガン付き」ですが、この曲は不思議な魔力があるようで(スケーター自身のいちばん深いところにある自らの本質と向き合わせ、音の光、光の音楽としてスケーターを支える、と私は感じている)、さまざまなスケーターの一世一代の名演技を支えてきました。今回の長洲の演技にもそういったものを感じました。全米選手権ではワグナーはややリードしているものの、長洲、ガオ、ゴールドはほぼ互角の勝負になると感じます。一世一代の演技をまた見せてほしいと感じます。 非常に良い演技が多かった本日でしたが、締めくくりに行われた浅田さんのFSは残念なものでした。だれも素直に喜べない優勝という結果になってしまったのはただただ残念で、罪作りな判定をしたジャッジ陣に呪詛すら覚えたほどでした。今日の展開では浅田さんが総合5位でもファイナル進出が可能だったため、出来を率直に審査すればFS5位、総合4位という判定でもおかしくなかったと感じます。 浅田さんのファンの人たちは浅田さんのことを「余計なことを言わない、言い訳しない」と評価することが多いのですが、「スターの神秘性」という以上に説明不足なまま不可解な行動を行なうことも少なくなく(演技&それ以外の両方において)、今回の気の抜けた演技は「体調が悪いのか」「脅迫でもされたのか」「家族に変わり事でもあったのか」とすら思わせるもので、かてて加えて今回の成績評価には愕然としました。今後強豪選手が揃った中での各大会の浅田さん評価は大会の進捗を待つところですが、全日本選手権で今回のような出来で今回の評価が出た場合には許されるものではないと感じます。そこまで浅田さんを追い詰めるほどの今回のFSの評価は、繰り返しますが非常に罪作りなものでした。 女子のファイナルは素晴らしいメンバーが揃い、楽しみです。とても良い演技をしていたトゥクタミシェワが勝ち残ったのは嬉しい限りです。 ISU:大会結果ページ 日本スケート連盟:大会公式サイト NHK:大会特設サイト (例年通り期間限定公開と思われます) 同:ウィンタースポーツ放送予定 ※総集編は12月1日に総合、12月2日&3日にBS1にて 同:11月18日BS1にて放送の「あなたが選ぶNHK杯フィギュア名場面」 (22日深夜にNHK総合にて、23日にBS1にて、それぞれ再放送あり) スポーツナビ:フィギュアスケート 同:ニュースまとめページ 写真特集 AFPBB アフロ ゲッティイメージズ 毎日jp 2012GPシリーズ成績表 男子 女子 ペア アイスダンス <11月24日に日付が変わった頃追記>大会初日が終了しました。 ・男子SPは皆さんご覧のとおり、羽生君が今回も隅々まで素晴らしいとしか言いようのない出来で自己ベストを更新し首位発進。高橋君はその演技の後でやりにくいところもあったとは思いますが、高評価で今季ベストを更新しての2位発進で、演技開始前・演技中・終了後と表情が明るく、ほっとした様子だったのが印象に残りました。フェルナンデスは今回も美しい4Tを素晴らしいクオリティで決め、他はやや硬いかなとは感じましたがこちらも自己ベスト更新での3位発進。 その他の選手はほとんど出来栄えにも得点にも差がつかず、極めて僅差でのスタートとなりました。今日のFSはどの選手もリラックスして思い切り演じられると思うし、そんな中でたくさんの素敵な演技が見られるのを期待し、楽しみにしています。素晴らしい大会になりそうですね。 村上君は残念でしたが、一日も早い回復と復帰を祈ります。 ・女子SPは浅田さんが素晴らしいとしか言いようのない演技で首位発進。得点が高いから素晴らしいのではなくて、素晴らしい演技だったから得点で評価されたのが嬉しかったです。SPともども大人気プログラムのFSでも、技術面など自らの課題に取り組み向上させ、さらに素敵な演技を見せてもらえるのを楽しみにしています。 2位の長洲は自信あふれた演技が高評価につながったと感じます。彼女の得点評価はジャッジや大会に左右されるところがありますが、中国杯での両プログラムも確かな気持ちの伝わる優れたものだったし、今回のFSでも自分を信じて堂々と演じてほしいと思います。 3位の李子君は素敵な日本デビューが実現できました。さわやかですがすがしい演技をする人で、FSもほんとうに楽しみです。4位のマカロワの高評価(ジャッジと会場の両方)も嬉しいものでした。 鈴木さんと今井さんはFSではのびのびと。 ・アイスダンスは、デービス組がSDでは過去最高の演技を行なって首位発進。見るものを引き込んで幸福感でいっぱいにする、美しい魅力的な作品でした。アイスダンスは大会によって採点の傾向(レベルが取れるか否かなど)がずいぶん違うことが多く、今大会は得点が辛いようで選手にも戸惑いがあるように感じられますが、上位3チームやリード組は素晴らしかったです。リード組は大ブレークした2007-08シーズンと同じ宮城県でのNHK杯、そのシーズンと同じパターンダンスのヤンキーポルカ、その時を思わせる衣装とのびのびしたパフォーマンス&演技は見ていてとても嬉しくなるものでした。 ・大会2日目から登場のペア選手も含めて、皆の良い演技を期待し、楽しみにしています。 <以下、11月18日記す> 今季フィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯フィギュアは、宮城セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ21)にて、11月23日から行われます。今季GPシリーズは大混戦・大乱戦の連続で、5試合終了時点でファイナル進出者は男子3名、女子2名、ペア4組、アイスダンス4組しか確定していません。最終戦NHK杯出場者にチャンスが拡がったとも言えますが、どの選手も自分の行ってきたことを信じ、落ち着いて力が発揮できることを祈念し期待します。 ・男子は、フェルナンデス・羽生君・高橋君が今大会トップ3の場合、順位に関係なくその3人がファイナル進出。ただし、今年のNHK杯は選手の顔ぶれが揃っており、初戦6位のドーンブッシュも優勝すれば進出可能など、2大会出場全選手にチャンスがあります。ファイナルとは別に、今大会単独に表彰台を考えても面白い展開になりそうです。 ・女子は、現時点でワグナーとコルピだけがファイナル確定。リプニツカヤもほぼ確定。トゥクタミシェワにも進出可能性がまだあります。残り3人として、NHK杯出場組は浅田さんは4位以上で、鈴木さんは2位以上で、ザワツキーと長洲は優勝で、それぞれ自力での進出確定。初戦5位の3人もポテンシャルがあり楽しみ。この大会出場女子はSPの強力な選手が多く、日本選手はSPでは自分のできることを確実に行ない、得点力のあるFSには冷静に臨んで行うことが期待されます。 ・ペアは、初戦2位のバザロワ組は4位以上で、ムーアタワーズ組は2位以上で、それぞれファイナル進出が濃厚に。今季絶好調の米国のキャステリ組、ISU大会初出場の今季新結成チームながら既にめざましい成績を挙げているやはり米国のシメカ&クニエリム組なども高いポテンシャルがあります。 ・アイスダンスは、デービス組とイリニフ組のファイナル進出可能性が濃厚。初戦では演技中にアクシデントのあったシブタニ組はロステレコム杯直後に日本入りして調整を続けており、NHK杯では力が発揮できることを期待します。
by morningdew21
| 2012-11-26 00:30
| 競技・大会
|
ファン申請 |
||