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2007年 05月 06日
プリンスアイスワールド横浜公演5月5日午後の部を見てきました。今シーズンのPIWはとてもいい出来です。これから開催される公演をごらんになろうと予定されている方だけでなく、行くかどうか迷っている方々もぜひ思い切って足を運んでみてください。
○会場の雰囲気について 昨年も複数回赴いた新横浜プリンスホテルスケートセンター。けれども、最近大きめの会場(ビッグハット、東京体育館、さいたまスーパーアリーナ)でのイベントに行くことが続いたため、会場の大きさの感覚がすこし変わっていたらしく、リンク内に入ったとたんまず思ったのは「小さい!」ということ。A席券を購入していましたが場所が最高で(リンクの長辺は、前からエキサイティングシート、フェンス、A席、いちばん後ろがS席という配置でした)、目の前を一切さえぎられることなく、どの会場よりもスケーターに近く、動きも表情も手に取るようにわかり、こじんまりした暖かな雰囲気の中、存分に楽しむことができました。 ○パンフレットについて 私はスケートイベントでは通常パンフレットを購入しないのですが、今回は荒川さんと本田さんとの対談が収録されているということもあり、迷わず入手しました。対談は今回のコラボレーションに関することや、スケーターとして、幼なじみ(といっていいと思う)として長年つかず離れず歩きながらお互いを見てきた上で思うこと等々多岐にわたり、今回読んでみてはじめて知ったエピソードもたくさんあり、楽しめました。PIWチーム全員の写真・紹介があったのも嬉しいポイントです。 ○全体の流れ、ゲストスケーター/ソロパートの感想(客席が暗くメモを取れなかったので、細かい順番に違いがあるかもしれませんがご容赦ください) <第一部> ・荒川さん&本田さん オープニング直後に登場することをすでに知ってはいましたが、いきなりメインディッシュが提供されるみたいでいささか興奮。演目はウエストサイド物語メドレー、登場からJet Songあたりまでは2人のコラボ、荒川さんがいったん下がって本田さんソロのMaria、本田さんが下がって荒川さんソロのI Have a Love(米国COIで披露しているものの一部と思われる)、再び2人のコラボでSomewhere、と展開します。全部で約7分間とボリュームがたっぷりありますのでお楽しみに。 これはペア競技やアイスダンスと似ていながら、どちらとも違うユニークなもので、2人が交互にジャンプを披露する場面もあるのでペア選手のエキシビションに近い印象もありますが、ショーの場でなくては実現できない試みなので、今回トライしてくれた2人にまず感謝したいと思っています。前述の「対談」によると、事前に予定・予想していたよりも遥かに、本格的にコラボレーションをするパートが増えたのだそうです。 現時点の演技では、準備時間の短さを感じさせないほどきれいに几帳面に清潔に滑っていて、全てを高い技術でクリアしており、演技のシンクロ具合も良く、それはこの人たちらしくて好印象だけれども、今後のツアーで滑り込んでいくうちに、もっと感情が振り絞られ、ほとばしるようなところが出てくると更にいいかも、とも思います。回を重ねるごとに演技が進化していくのを見守っていけるのが楽しみです。 ・PIWチーム1「スケーターズ・ドリームタウンへようこそ」 ・恩田さんソロ(曲目不明、多分サラ・ブライトマン) 後で登場するPIWチームの「ブックショップ」の「オズの魔法使い」パート、「スケーターズ・ドリームタウンの情景」の「夏祭り」のパートにもメインで登場して頻繁に元気な姿が確認できた恩田さん。私はこの人は生真面目で不器用なところがいいところだと思っており、そういうところとPIWのようなフォーマットで行なうショーは相容れるのかという不安を見る前には持っていましたが、この日は登場するどの場面でもその生真面目で不器用なところがそのまま残っているところがいかにも彼女らしく、むしろ好印象でした。得意のアクセルジャンプはトリプルではなくダブルでしたが、トリプルと見まがうほどのものすごい高さは健在でした。 ・PIWチーム2「レストラン」珈琲、中国茶、ビールなど飲み物にまつわる演目。 ・レオノーワ&コワルコ(アレグリア) 本日の白眉でした!凄まじくスリリングなステージは健在どころかますますクオリティを上げていて、そのプロ魂と技術の高さにひたすら驚嘆・感激。実際の夫婦であるふたりの間の信頼感にも感動。観客席が暗いままでなければスタンディングで讃えたいと心底思いました。 ・八木沼さんソロ 本日のもうひとりの白眉だった八木沼さん。今年は彼女の健闘を見るだけでもPIWを見に行く価値があると思います。登場のたびにキラキラ輝いていました。ここで披露したソロ演技、第二部で披露したPIWチーム「スケーターズ学園」内のパフォーマンス、同じく第二部「スケーターズ・ドリームタウンの情景」冬のパート「雪の華」(大島さんとのペア)どれも素晴らしく、美しいスケーティングとキレのいいしっかりした技術、観客に語りかけるような演技がほんとうに素敵でした。プロスケーターとしての彼女はまぎれもなく一級品です。昨年は、一時存続の危ぶまれたPIWの苦しい時期を支えた八木沼さんへの感慨が深く何度も涙しそうになった私でしたが、今年もフィナーレに彼女が登場した際にこの日唯一、涙が出そうになりました。 ・PIWチーム3「ブックショップ」世界名作劇場、ヒーロー物同士の対決など。 ・高橋君(エル・タンゴ・デ・ロクサーヌ) 狭いリンクの中でも完璧でした。日によっては転倒・お手つきなどミスもあったようでしたが今回はいい出来で、「ロクサーヌ席」の観客のノリもよく、演技のテンションも高くいいステージでした。 <第二部> ・本田さん(ゴッドファーザー東京スカパラダイスオーケストラバージョン) ゴッドファーザーということですこしプルシェンコを意識したかんじのパフォーマンスだったかも。けがもありしばらく演技ができない時期があり、この日はジャンプのキレ、精度などいまひとつでしたが、PIWやCOI日本公演など回を重ねてまた昨年後半のような素晴らしいパフォーマンスを見せてほしいと思います。 ・PIWチーム4「スケーターズ学園」 このパート最高です。体育祭、文化祭、卒業パーティーというか何ともはや…。体育祭のところで安藤美姫ちゃんが以前エキシビで披露した「ミッキー」が流れ、「間違って安藤さん出てきてくれないかな」と思った観客は私だけではなかったと思います(笑)。(会場入り口に並べられた出演者への花の中には、安藤さんから荒川さん、高橋君らへ贈られたものもありました) ・中野さん(シルク・ド・ソレイユの「コルテオ」から「リトルナーレ」。曲についての詳しいことは中野友加里応援ブログをご覧ください) 写真で見るだけではもう少しシンプルなほうがいいかもと思った衣装は、ライブで見るとバッチリでした。演技そのものは彼女らしいきびきびとした、スピードのある、切れ味鋭い見てとても快いものでよかったです。ゆったりしたテンポのエキシビションが続いていたのでさまざまな意見はあるようですが、私は今回のプログラムのほうが好みです。 ・PIWチーム5「ダンスホール」さまざまなタイプのダンスにのせた演技を披露。 ・織田君(ニュー・シネマ・パラダイス) 素晴らしい出来でした!数年前のショートプログラムで披露していたとのことですが、あす試合があっても使えるほどのクオリティで目を見張りました。PIWをきっかけに、次へのテンションをしっかり上げていければと思います。いい演技でした。 ・PIWチーム6「スケーターズ・ドリームタウンの情景」前述の通り四季をテーマにしたもの。八木沼さん・大島さんのペア「雪の華」が最高でした。 ・村主さん(映画版「シカゴ」の「セル・ブロック・タンゴ」) ジャンプの出来はまだまだでしたが、滑る意思、演じる気迫のようなものが感じられてほっとしました。今年のPIWは1週間後の豊橋公演にも登場します。その後はマイペースであわてずしっかり調整していって、また大会で元気な姿を見せてほしいです。 ・荒川さん(サラ・ブライトマン「It's a Beautiful Day」ある晴れた日に、のモダンバージョンです) 氷上にスモークが流れる中、大きなブルーの布を携えて登場。詳しくは記しませんが最高のパフォーマンスでした。技術の出来栄え、観客へのアピール、衣装や布のあしらいなど全てが完璧でした。氷上が雲のように見え、氷上というよりも天上のパフォーマンスでした。 世界中、どこに持っていっても誰にも満足してもらえるステージだったと思います。COIアメリカ公演でも可能であればこのプログラムを演じてほしい! ・フィナーレ「未来への道」 ○ショー全体を見ての印象・感慨 いかにも日本的な演出に特徴があったプリンスアイスワールドに、世界クラスの演技のレベルとクオリティを持った日本人スケーターが多数参加してショーのグレードを上げ、モロゾフさん振付の演目も見ることができ、まさにPIW30年、それと並行しての日本のフィギュアスケート界30年間のあゆみを2時間で振り返るといった印象があり、世界中ここでしか見ることができない、極めてユニークで魅力的な、感慨深いショーになっていたと思いました。 ぜひ多くのかたにご覧いただき、楽しんでいただければと思います。私も多分どこかの会場でふたたび見ることになりそうです。
by morningdew21
| 2007-05-06 01:15
| アイスショー(国内)
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