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2008年 10月 16日
すでにご存知の方も多いと思いますが、ランビエールは本日スイスで会見を行ない、競技生活からの引退を表明しました。
<詳しくはこちらから> 地元メディアの報道(ドイツ語。ページ下部にファンからのメッセージあり) インターナショナル・ヘラルド・トリビューン記事(英語) google:言語ツール(翻訳サイト) swissinfo.ch:上記ドイツ語記事の日本語訳 フランスのレキップ紙記事(仏語。ジュベールのコメントあり) IFS:ステファン競技引退について(コーチチームのひとり、ニーナ・ペトレンコのコメントあり) 同サイト:ウィアーへの電話インタビュー 23歳での競技生活引退ということについては、残念、惜しい、早すぎる、と思う方も少なくないとは思いますが、私は彼の心や体がこの年齢にして完全に朽ち果ててしまうのを見るのはあまりに忍びないので、今回の判断はとても賢明な、正しいものだったと思います。 ランビエールは今年の世界選手権で5位に終わりましたが、そのときに足の内転筋を痛め、以後現在に至るまで懸命の治療を続けたものの状況が好転せず、100%の力でのトレーニングを行ない続けることがかなわず、五輪での金メダル獲得という目標に到達することができないと判断し、本日の発表を行なったとのことです。 ランビエールは現在の男子トップ選手グループ(21歳から24歳ぐらい)と同世代ではありますが、シニア転向が早く、他選手に比べシニア競技暦が長かったですし、五輪も2回出場を経験しました。世界選手権優勝2回、GPファイナルも2度優勝、世界最長の歴史を誇るフィギュアスケート競技として圧倒的なプレステージを持つ欧州選手権こそは獲得できませんでしたが(銀メダルが最高)、目指すものはあと五輪金メダルのみ、といった状況の下にありました。 ISU:ランビエールのバイオグラフィー 同選手競技成績一覧 彼の競技成績および技術面でのピークは、おそらく2005-6シーズンだったと思います。小さいときから傷めていたという膝の故障が競技選手としての彼を長い間苦しめましたし、今回の内転筋故障も膝をかばうことが遠因だった、という話もあります。 ただ、ドイツ語記事にもありましたが、彼の真の価値は単に競技での高得点や好成績にとどまらず、見たものの心に残る、いつまでも見ていたい、語り合いたいと思わせるような演技ができる、という点にあったと思います。たびたび来日しているので、会場でテレビで、競技やショーで彼のことを見て、そのことを実感した方は多いと思います。 ランビエールは、スケートをすることを愛している、今後もエキシビション/ショーの場で滑ることは続けていく、ときょうの会見で話し、毎年メインで出演し今年は荒川さんも参加したスイスのArt on Iceへの出演を公表しました。 そのうえで今後の彼に望むこと・願うこととして申し上げることがかなうとすれば、まずは体を休め、適切な治療で健康状態を改善させ、少しでも良い心身の状態で滑れるようにすることや、選手時代の魅力でもあり、時には失望の対象にもなった、コンディションのむらを少なくして見る者にとって魅力的なパフォーマンスをコンスタントに行なうこと、を挙げたいと思います。フィギュアスケートの国際的なプロ市場が非常に縮小しスケーターが高齢化している中で、先に選手生活を離れたバトル同様、今後に続く選手にも道が開けるような、充実した滑りを続けてほしいと思います。 今後のランビエールの人生に幸多かれと願います。 少し前(08年世界選手権の頃)までは、およそ7~8名の上位選手が熾烈な競争をバンクーバー五輪まで続けていくのでは、というおおかたの予想がありましたが、男子の世代交代は予想より早いペースで進んでいるようで、現時点のトップグループ(ウィアー、ライサチェック、ジュベール、高橋、織田、ベルネルなど)、一世代若いグループ(小塚、チャン、ボロノフ、キャリエール、ポンセロなど)、今年からシニア入りのグループ(リッポン、無良など)と、競争相手の範囲がむしろ拡がり、勝負の行方が混沌としてきた感があります。今後2シーズンの男子の争いからは一瞬たりとも目が離せないことになりそうです。
by morningdew21
| 2008-10-16 22:07
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