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2007年 01月 04日
4日に開催された「nikko am ニュー イヤー フィギュア 2007 ジャパン スーパー チャレンジ」についてのコメントは、こちらにお願いいたします。
ゲスト出演予定のプルシェンコとスルツカヤは2日に来日。その様子がviva! Irina Slutskaya ビバ!イリーナ・スルツカヤさんのところで紹介されています。楽しみですね。 <会場内の雰囲気・集客状況> 驚きました。NHK杯よりも遥かに観客が多かった!客席は超満杯、立見もN杯のときより格段に多かったです。客層は12月のときのような「好き者のオーラが漂う(笑)」感じから一変し、ご近所の、ごく普通の家族連れ、ほんとうに小さな子からおじいさんおばあさんまでの家族揃っての楽しみに来ている地元の人たちが大半でした。「小さい子は膝上なら観覧無料」ということからか、ほんとうに小さい子が多かった。でもどの子もいい子にして見ていました。 長野の人は割と腰が重いほう(のんびりしているというより様子見の傾向がある)で、なおかつブランド志向が強い気質があるのもその理由かもしれません。正月4日で仕事始めのところも多く、かつ子どもはまだまだ休み、という時期のせいもあったかもしれません。けれども、コアなファンでなければ、NHK杯だの他のグランプリシリーズだの全日本だのをテレビで見て、「なんだか面白そう。みんなが見ているフィギュアスケート(のスターたち)というものを見てみたい」という気持ちで行動を起こすには、そのくらいの時間がかかったかもしれません。 多くの人にスケートを親しんでもらうためには、イベントを起こして実際に地元の人に見てもらう、ということは大きいとしみじみ思いました。 <イベントの式次第> 放送されたものは実際の時系列とかなり変わっていましたので、以下に実際の順番・出演者を記します。(この項、選手敬称略) オープニング(ジャッジの紹介など) 男子第一グループ6分間練習 無良 柴田 小塚 中庭 男子第二グループ6分間練習 神崎 南里 織田 高橋 休憩・整氷 欠場の安藤美姫ビデオメッセージ(村主章枝体調不良で欠場、も場内で配られたオーダー表には記されていましたが、詳しい状況説明はなし。NHK杯でも村主人気が抜群だったので残念に思った人も多かったと思います) 女子第一グループ6分間練習 太田 浅田舞 武田 女子第二グループ6分間練習 恩田 中野 浅田真央 男女表彰式、チャリティ目録(入場料等収益の一部をJOCおよび日本スケート連盟に寄付)贈呈式 休憩・整氷 ゲストアイスショー スルツカヤ プルシェンコ 荒川 アイスショーフィナーレ 休憩時間をはさみながら正味3時間半のボリュームたっぷりのイベントでした。それをこれだけ大勢の普通の人が見ることができたという意味でも、今回のイベントの価値は大きかったと思います。 <印象に残った選手> 柴田君(グノーのアヴェ・マリア)…先日の全日本の地上波放送では彼の演技が見られなかったため、場内の大半の観客が彼のことを知らない模様でしたが、バレエテイストの演技と、ビールマンスピンを始めとした体の柔らかさに驚いた人が多かった印象で、かなり観客をひきつけていたと感じました。エキシビションマッチなのでこれくらい思い切ったプログラムでよかったと思います。 中庭君(ロミオ+ジュリエット)、神崎君(オペラ座の怪人)…ふたりとも、全日本の好調ぶりをそのまま維持しての素敵なパフォーマンスでした。日本の他の男子選手にはない大人の雰囲気があるのがいい。中庭君はもしかして今シーズン自分の中でのブレイクNo.1かも(笑)。大好きになりました。神崎君の演技はフルサイズで放送があるとよかったのに、と改めて思います。これから登場する試合でも楽しみです。 太田さん(エニタイム、エニホエア)…いつも日本選手の集まるイベントでは熱狂的に歓迎される彼女ですが、今回のイベントでは大半の観客が彼女のことを知らない模様でした。けれども初見の観客をもつかんでいたかなと。私個人は、小さな体で一生懸命滑るのがかわいいと思っている人です。 足の故障もあってブランクが長く、ジャンプにも支障があるとのことで一時アイスダンスへの転向が噂されたことがあったそうですが、今現在は樋口豊先生(会場に来ていた。イベントなのに外国人指導者を除いて大半のコーチの方々が来ていたのも印象に残っている)に教わっているので、アイスダンスをする彼女もいつか見てみたい、日本にもアイスダンスのチームがもっと増えたらいいのに、と思いながら見ました。 武田さん(Burning Up~Everybody Dance Now!)見た目はウランちゃん、しゃべると魔法使いサリーちゃんの友人のヨシ子ちゃん(笑)、大きくてよく動く体に大きな笑顔の彼女はスター性抜群で、ジャンプの種類がどうとかと小難しいことを詮索されないエキシビションでは最高に輝く人です。きのうは演技の出来そのものが抜群によく、ひときわ魅力的でした。ごく短期間のうちに大ブレークの予感。楽しみです。 中野さん(Memoirs of a Geishaエキシビバージョン)…最近の好調をそのまま反映した素晴らしい演技でした。事前の6分間練習で彼女への拍手・歓声が非常に大きく、観客に彼女が周知されているのと同時に、特に彼女のスピンへの評価が高いのを実感しました。演技中の喝采もひときわ大きかったと思います。 このプログラムで私がいちばん好きな組み合わせの意匠(紫の和傘+ターコイズブルーの衣装)で登場したのもポイント高かったです。 真央さん(オズの魔法使い)…芝居の世界では「子どもと動物には勝てない」とよくいわれますが、きのうはそれを証明してしまった、それも子どもと動物のダブルパンチで(笑)。犬が出てくることを事前に知っていたので、ジャンプ練習を普通にしていたし犬を抱いてジャンプするものだとばっかり思っていました(笑)。エアロと呼ぶにはいささか大きく育ちすぎたワンコではありましたが、真央ちゃんとの2ショットは鬼のようにかわいらしかったです。 プログラムも以前からのエキシビで、きのうの演技を見てほっとした人は会場にもテレビの前にも山ほどいたことと思います。なんだか、今シーズンは演技しているほうも見ているほうも背伸びばかりが続いていたなぁと。 きのうのは、いつまでも心や頭の中にとどめておきたい、すがすがしい演技でした。大好きなものをいつくしむ姿というのは、それだけで見ていて気もちのいいものだとつくづく思いました。「(エアロと滑るのは)めったにできないことなので、いい思い出になりました」なんて泣かせるじゃありませんかっ!例のもの(ステップからのトリプルアクセル)もバッチリ決めて、今の彼女的にも納得がいったであろうことが心憎かったです。 <アイスショー> ここは力説しておきたい!選手が登場していたコーナーとアイスショーコーナーの観客は同じ人なのかと疑うほど、ものすごい盛り上がりでした。「長野の人だからおとなしいのかな」と思っていたのは何なんだ!と思うほど、照明が落ちて3人のトリノメダリストが登場してからの会場の歓声は凄まじかったです。 理由をいくつか考えてみましたが、県民のブランド好き(前述)、よく知っているスケーターの演技を見て楽しむ安心感、照明を落としてスポットライトで滑ることによるゴージャス度のアップ、そして何よりスケーターが観客の状況をよく見て、大きくリンクを使いながら滑ったこと、などがあると感じました。遠くロシアから今回のイベントのために来てくれたふたりに、あの歓声を届けることができたのはほんとうによかった。 スルツカヤの今回のプログラムは、アイスダンスのアニシナ&ペーゼラのアニシナがひとりで滑っているような印象のもので、とてもゴージャスかつ生き生きとしていて、彼女が生来のパフォーマーであることを再認識しました。 昨年9月のCOI日本公演での彼女の滑りを見て失望を禁じえなかった私でしたが、今回の演技を見て、彼女が(競技者としての今後は未定とは言うものの)スケートを愛しスケーターとして生きていく意欲を持ち、演技にも輝きが戻っていることを実感できました。きのう最大の収穫だったかもしれません。 演技終了後、アンコールを求める大拍手に応え、ビールマンスパイラルで場内を一周してくれました。 プルシェンコは、いつものトスカでいつものプルシェンコでパフォーマーとして魅力的だったことは言うまでもなく、観客へのサービスも満点でしたが、競技レベルで細かいところを見ると今なら高橋君のほうが多分上、と認識できたのも事実です。アンコールは連続バタフライジャンプでリンク中央付近を一周。 ふたりは演技終了後、3月の世界選手権に出場しない意思を表明しました。 アイスショーコーナーの薄明の中でも花やプレゼントの投げ込みがあり、子どもたちが回収してくれたのですが、プルシェンコ演技終了後かなりたって投げ込まれた大きな花束がひとつ回収されないまま残ってしまい(テレビ画面にも映っていました)、荒川さんの演技開始前から終了まで肝をつぶす思いで見ることになりました…彼女が冷静に状況を見ていて、大事に至らなかったのが救いではありました。 荒川さんの登場時は、場内がひときわ大きな歓声に包まれたアイスショーコーナーでも最大の喝采が彼女に寄せられました。永久欠番みたいに、彼女が将来にわたって永遠にあの曲で滑り、他の人が使うのをためらうようになるくらいでもいいと思ったほどでした。エンディングは従来型のイナバウアーで場内を半周、ラストはスポットの中でポーズ、もゴージャス感があってよかったです。 ショーのフィナーレは、3人のスタースケーターに地元のちびっ子スケーターが花束のプレゼント、次いでみな揃って場内を一周という心憎い演出で、出演した子どもたちには生涯の思い出になったことと感じます。最後の最後に、荒川さんは大きな花束を抱えたまま、イナバウアーで場内を一周してくれました。
by morningdew21
| 2007-01-04 09:29
| 競技・大会
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