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2008年 10月 28日
GPシリーズ初戦が終了しました。豪華なメンバーが集まった大会にふさわしい、見ていて楽しめるものでした。若手も活躍し嬉しく、それは私が新しいもの好きだということもあり、年をとって老婆心で見つめるようになった所以かもしれません。
<女子上位選手> ・キム・ヨナ…優勝おめでとう。SP・FSともに、完璧というわけではありませんが両プログラムをまとめて、勝てる力を見せつけたのが今回の結果で成果だったと思います。ヘアメイクや衣装も両プログラムとも気合の入った、女王パワーで他を圧倒するかのようなものでした。次の大会に出場すれば地元開催のファイナル進出はほぼ確実と思われますので、楽しみにしています。 ・中野さん…2位おめでとう。東京大会が厳しい結果に終わり、スケートアメリカまであまり時間がない中でできうる限りの努力をし、本大会の結果を出したことは大きいです。GPシリーズ開始前はファイナル進出が難しいかも…と思われていた中、今大会結果で「進出の可能性がかなり大きい」に転じましたので、NHK杯までの約1ヶ月間に納得がいくまで練習し、見直すべき点は見直して、次に臨んでほしいです。 今大会のジャッジはジャンプの回転不足に非常に厳しく、これは今季全体の傾向なのか、たとえば昨年のスケートアメリカとスケートカナダのように大会によって判定基準(傾向)が大きく異なるのか、今後の大会をしばらく見てみないとわかりませんが、今大会で中野さんが3-3回転と3A(特に後者)を実施しなかったのは結果の面で奏功したと思います。 3-3回転と3Aの実施に中野さんが強い思い入れを示しているのは、アスリートとしてのプライド・こだわりであり、今より更に高い段階への進歩(全日本選手権でのトップや、世界選手権の表彰台)を見据えてのことと受け止め、共感しているので、迷うことなく努力を続けてほしいです。 ・安藤さん…復帰第一戦といっていい大会でのメダル獲得おめでとう。心身にかかる多大なプレッシャーは画面からも何度も伝わりましたが、乗り越えたタフさを最大限に賞賛します。 今大会の最大の成果は、練習の最初からジャンプの出来がよく、好調を大会期間中維持して試合でジャンプの魅力を存分に見せつけたこと。今後に向けての大きな収穫であり、見るものにとって嬉しいことでした。 中野さんの項に記したとおり、今大会のジャッジ判定傾向からして、4回転を実施しなかったことは正解だったと思います。細かなミスはあったにせよ、投げ出さず最後まで両プログラムをまとめたことも功績。 今季の両プログラムは、「つくりこんだSP」と「ジャンプの成功を第一に考えたシンプルなFS」という、2006-07シーズンの彼女のプログラムの組み合わせと似た印象を受けたので、そういう戦術なのかとも思います。 雑誌取材等では「自分にはアスリートとしてのプロフェッショナルな感覚が更に必要である」(自分は気持ちで滑るタイプだけれども、勝負ということを考えたらそれだけではいけない)という意味のことを発言しており、今回はその一端を見せてくれたと思っています。 安藤さんはバンクーバー五輪までスケートに全力投球したい意思を表わしているので、それまでの期間をひとつのパッケージとして考え、「木を見て森も見る」姿勢で、すなわち、大会ごとに彼女が言うところの「練習したことをできるだけ100%近く」出していき、直近の目標をそのたびごとに見据えながら乗り越えていき、ステップを登ってすこしずつ高い場所に着きながらオリンピックを迎えてほしいと思っています。 その第一段階として、彼女は今季のGPファイナル進出に強い意欲を示していますので、中国杯でも今回同様集中して競技に臨み、彼女らしいスケートをすることを期待します。 今大会を終えて、安藤さんはまたひとつ新しい高い段階に来ることができたと感じています。 ・フラット…日本勢が最大に意識したのはおそらくこの人の存在で、前評判、そしてSPの結果にたがわない成績を出したと思います。プログラムの中途で息切れしたかとも思いましたが盛り返し、全体にバランスよくまとめて高得点につなげました。「海」のようなアブストラクトな曲でも表現できる解釈力、「頭が良い」という意味でのスマートさも存分に見せた演技で素晴らしかったし、今回のレベルの演技をキープできればだんだん評価が上がってくると思いますのでやはり怖い存在だし、魅力的なスケーターでもあると実感しました。次回ロシア杯の成績如何では、ファイナル進出の可能性も残しています。 学業も優秀だそうでスケートと両方頑張っているとのこと。米国の若手スケーターは優秀な選手でも諸般の事情で突然引退してしまったりすることが少なくないので、ぜひ今後も続けて、素敵な演技を見せてほしいと思います。 ・長洲未来…シニア第一戦、おつかれさまでした。番組内でも言及がありましたが足にけがを負っており、診察を受けてゴーサインをもらっての出場だったそうです。緊張が目に見えたSPより、FSの日のほうが演技の印象が良かったと私も感じました。画面で見たとおり、体が急激に成長している時期で、そのことに伴う困難も感じましたが奮闘は伝わりました。どちらも彼女らしさを充分に出した楽しいプログラムなので、NHK杯までに少しでも体調を整え、かわいらしくて楽しい姿をまた日本で見せてほしいと思っています。
by morningdew21
| 2008-10-28 11:31
| 競技・大会
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